2月候補者
南井克巳

南井克巳 3月から調教師に転身する南井克巳



99年2月26日付紙面掲載

28年の騎手生活に別れ

 豪腕で鳴らした南井克巳騎手(46)が今週で28年の騎手生活に別れを告げる。27日(土)が阪神、28日(日)が中京での騎乗。計14頭でファンに最後の雄姿を見せる。引退レースとなる白川郷S(中京11レース、芝1200メートル)のリキアイワカタカ(牡6、栗東・松田正)など有力馬も多く、有終の美を飾る大暴れもみられそう。阪神では27日最終レース終了後、中京では28日昼休みに、それぞれ引退セレモニーが行われる。

 引退まであと3日と迫った25日も、南井はふだんと変わらなかった。調教に乗り、合間にきゅう舎関係者と談笑。柔和な表情を見せていた。だが引退に関する質問には顔を引き締めた。「(引退の)感慨はまだありません。それはすべて終わってからでしょう」。

 ラストデーは劇的なものになりそうだ。引退レースとなる白川郷Sのリキアイワカタカは「初めての芝というところが多少不安だが、スピードを生かせれば」と、メモリアル勝利の可能性は十分。きゅう舎関係者も「芝は大丈夫。何としても勝たせたい」と力が入る。27日阪神9Rゆきやなぎ賞のドラゴンスペシャルも手ごたえがある。「前走で久々に乗ったけど、なかなかいい内容だった。楽しみだね」、同11R仁川Sのマイターンも「多少太いかもしれないが、スピードはある。上田きゅう舎も今週で最後だし頑張りたい」。

 人柄の良い南井の引退ウイークとあって、関係者のバックアップも強力。28日10R長良川特別のターファンスズカはここで同騎手に勝たせるために、先週あえて除外をもらって、今週の出走権利を確保。27日12Rのサンコメーテスは、普段は騎乗していないが「南井さんにぜひとも乗ってほしい」というオーナーサイドのたっての希望でコンビが実現した。こんな心遣いに南井も「馬主さんや各先生、きゅう舎スタッフに本当にお世話になった。自分で選んで入った世界だし、本当に幸せでした」と感謝の気持ちを口にする。

 この2週間で京都、東京、阪神、中京と主要競馬場を回ることになった。「各地のファンにあいさつができて良かった。東京ではメーン(ダイヤモンドS=インターフラッグ・10着)も最終レースも1番人気で負けた(12着)のに、バ声どころか声援をもらった。涙が出ました」と温かいファンに頭を下げた。

 「勝っても負けても1頭入魂で乗れば納得してもらえる」いう南井。ファンを大切にしてきた男は、最後の最後まで全力投球する

【栗田文人】