【ビショフスホーフェン(オーストリア)21日=小林明央】日本ジャンプ界の成長株、宮平秀治(25=ミズノ)が世界選手権初出場で見事、銅メダルを獲得した。1本目125・5メートルで3位につけた宮平は、2本目も安定した飛行で128メートルをマーク。トータル258・8点で、表彰台を勝ち取った。優勝は今季W杯7勝のマルティン・シュミット(21=ドイツ)。船木和喜(23=デサント)は5位、前回王者の原田雅彦(30=雪印)は6位だった。
勝負のかかった2本目。カンテを包む霧を切り裂くように、宮平が飛び出した。メダルを確定させる128メートル。「自分のジャンプに納得がいった」。物静かな男が、めったにないガッツポーズで喜びを表した。
今季W杯では3位3回、2位1回。世界選手権までの21戦を終えた時点で、総合1ケタの8位につけている。過去に五輪、世界選手権の2大大会の出場経験がないため、ニューフェースのように扱われてきたが、そうではない。
1997年、トロンヘイム(ノルウェー)での世界選手権で、代表の1人として現地に入りながら飛べなかった。「あのときのこと、忘れたことがないです」。初めて日の丸を背負った大会は、下から見るだけで終わった。昨年の長野五輪も同様だった。
だが、地道に努力し、確実に成長した。この日の試技では、あえて古いジャンプスーツを着用し、飛距離を抑えた。宮平の表彰台をわがことのように喜んだ原田は言う。「相手をけん制する意味で(力を)抑えていた。精神的に、すごくたくましくなったと思いますよ」。
直前の12日の全日本ノルディック(長野・白馬)ノーマルヒルは風邪で欠場。38度の熱に加えおう吐もあり、今回の出場も危ぶまれた。体重は3キロ減り、アプローチスピードの減少に不安もあった。だが、あの笠谷幸生氏が「宮平は本物だよ」と絶賛する技術でカバーした。
「みんな船木、原田という感じで期待していたようだけど、僕は白馬(ラージヒル)で2人に勝った。自信はありました」と胸を張った。ジャンプ仲間のほとんどが高級外車に乗っている中、ただ1人、国産のファミリーカーを愛用する。そんな控えめな宮平が、異国の地で男になった。