<GG BOYZ・結成1周年インタビュー>

人気プロゲームチーム「GG BOYZ」が、27日に幕張メッセで開催される「第4回スプラトゥーン甲子園全国決勝大会」で連覇を狙う。17年12月の結成から、プロとして過ごした激動の1年を振り返り、19年への思いを語った。第2回はダイナモン(24)に迫る。配信を始めた当時の秘話を明かし、プロを目指す後輩達に温かいエールを送った。

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スプラトゥーン甲子園の全国大会には第1回から連続出場を続け、E3世界大会にも17年から2年連続で出場している。戦うステージはこれまでと同じでも、「プロチーム・GG BOYZのダイナモン」として挑んだ18年は、国内外で最高の結果が伴う節目の年になった。

 ダイナモン チームが「常にあるもの」になったことが大きいです。今までは自分たちの趣味として、一緒に大会に出ようというチームの組み方。誰がいつ抜けても文句を言えない、必ず続いていく保証がない状態でした。GG BOYZを結成して、自分の軸ができた。実力を高めることに集中しやすくなった。すごく取り組みやすくなりました。

トッププロとしての第1歩は16年だった。「第1回スプラトゥーン甲子園」を、チーム「いかたまKids」で優勝。就職活動が始まる大学3年でつかんだタイトルが、ゲームで身を立てる決心を生んでくれた。一方で、両親は企業への就職を望んでいた。身の回りに前例もなかった。ならばどうするか。脇目も振らず、実績を積み重ねることにした。

 ダイナモン 親には相談しないで、突然「今日から友達の家に住むから」と言って家を出ました。一緒に甲子園を優勝したチームのメンバーの家に転がり込んで、ひたすら配信をしていたんです。途中で貯金がなくなりかけたけど、家には帰らなかった。中途半端では親を説き伏せられないと思っていましたから。

毎日のように配信を続け、投稿数と視聴者を増やしていった。半年が過ぎた頃には活動が軌道に乗り、生活のめども立ち始めた。

 ダイナモン そのうちにオープンレックさんからお話をいただき、配信者になり、今に至るんです。親には迷惑をかけました。でも、絶対に他の道では生きていかないぞという覚悟でした。後になって、親からは「こんなに真面目にやるなら最初から認めたのに」と言われました(笑い)。頑固さと少しの実績で、納得してもらいました。

「eスポーツ」の認知が進み、プロゲーマーに憧れる小中学生も増えた。厳しい世界であると前置きしながらも、挑戦してほしいとエールを送った。

 ダイナモン 好きなことをやって世の中に認めてもらえることは、すごく楽しいです。ゲーム業界の先輩から「君らの世代がうらやましい」と言われることがありました。「自分たちの世代では、君らのような形は絶対に存在しなかった。だから仕方なく違う道を選んだ」と言われたことが印象に残っています。今は自分の道を選ぶことができる時代。ものすごく時間がかかる道ですが、覚悟さえあれば、とてもおもしろい世界だと思っています。

世の中の環境は整いつつある。行動で道を切り開いてほしいと強く願う。

 ダイナモン 僕のやり方は極端ですが、親に許可を取る前に熱意を見せるのはいいと思います。時間とお金を確保して、機材を用意して、配信をして「これだけファンがついた」と見せられたらいい。ファンを増やす才能があればその道で進んでいけるし、やることが何も思い浮かばないなら、その道に進むべきじゃないと分かる。仮にファンが増えなくても、目標に向けて行動した経験は他の道にも生かせる。目指せるかどうかじゃなくて、まずは目指す。駄目なら切り替えればいいかなと思いますね。

大会初の連覇がかかる、第4回スプラトゥーン甲子園全国決勝大会が目前に迫った。自分のため、チームのため、応援してくれるファンのために最高の結果を目指す。

 ダイナモン スプラトゥーンの大会の観客が増えていると感じます。春にはNPBさんの大会もある。少しでも大きな場所に出ていって、優勝して、話題をかっさらうことで多くの人にスプラを知ってもらって、これからの若い人たちのための環境を整えたい。

覚悟を携え、まっすぐに頂点を目指す。

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<ダイナモン語録>

 ◆18年の1文字 「結」ですね。チームを結成して、毎日の練習が実を結んで、甲子園とE3の優勝につながった。個人的には結婚もあったので、この字を選びました。

 ◆サインは「おとこ気」 昔からずっと、カタカナで「ダイナモン」って書いてます。他の3人は自分のサインを持っていますよね。でも僕は、しばらくこのままでいきます。男らしい? サインが書けないだけです(笑い)。

 ◆世界での経験 日本のチームとはプレースタイルが違う。すごくキルを狙う立ち回りであったり、爆発力がすごいんです。外国の方と練習する機会はたまにありますが、チーム単位で、しかもラグのないオフライン大会はそう機会がない。17年に続き、貴重な経験をさせてもらいました。

 ◆プロとは 時々、僕らがプロを名乗っていいのかなと考えることがあります。ウメハラ(梅原大吾)さんとかは、誰が見てもプロゲーマーじゃないですか。世界大会に出て、賞金を稼ぐ。僕たちはゲームを配信して、応援してもらうストリーマーから入った。ユーチューバーに近いものがある。ひとくちに「プロ」といっても、線引きが難しいなと思います。