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社会人野球 第77回都市対抗野球大会

東北に黒獅子旗、TDK優勝/都市対抗

初優勝し船木監督を胴上げするTDKナイン(撮影・山崎哲司)
初優勝し船木監督を胴上げするTDKナイン(撮影・山崎哲司)

<都市対抗野球:TDK4-3日産自動車>◇最終日◇5日◇東京ドーム◇決勝

 秋田県のTDK(にかほ市)が日産自動車(横須賀市)を4-3で下し、東北勢として初めて黒獅子旗を手にした。同点の7回に阿部博明内野手(28=八戸工大)の左翼線適時二塁打などで2点を入れて勝ち越し。入社10年目のエース右腕・野田正義(27=桜美林)の好投で逃げ切った。過去8回出場もすべて初戦敗退。廃部の危機を気力と闘争心で乗り越え、今大会1回戦で初勝利を挙げると一気に頂点に駆け上がった。05年10月に3町合併で誕生した人口約2万9000人の市が、一躍、全国にその名を響かせた。

 約8000人で埋まり、「なまはげ」が踊るTDK三塁側スタンドの万歳三唱が鳴りやまない。77回の歴史を誇る都市対抗で、黒獅子旗が初めて東北の地に渡った。それも昨年10月に誕生した新しい市が、栄冠を勝ち取った。

 就任1年目にして3度宙に舞った船木千代美監督(52)は「感無量です。ジーンと来てます。最高。格別だ。東北は社会人のレベルが落ちると言われていたので、関東のチームに勝って優勝したことは意味があると思う」と胸を張った。

 鮮やかな逆転勝ちだった。2-2の7回表2死二塁。交代したばかりの日産のエース高崎を攻め立てた。連続暴投で1点を入れると、1番・小町、2番・阿部の連続二塁打で、この回貴重な2点を入れた。今秋ドラフトで横浜が希望枠での獲得を目指す高崎をわずか6球でKO、一気に勢いづいた。

 投げてはエース野田が踏ん張った。今大会5試合すべてに登板。握力がなくなり130キロ前半しか出なくなった直球と、スローカーブを低めに集め6安打、無四球で3失点完投。バックも1失策でもり立て、船木監督が掲げる「守りの野球」を最後まで実践した。

 昨年オフは廃部の危機にさらされた。過去8度、都市対抗出場も1勝もできず、昨年まで2年連続で出場を逃した。これまで午前中だけだった社業が、午後5時まで延びた。同6時半からの練習は夜中12時まで続いた。法大で元巨人・江川の1年上として黄金時代を支えた船木監督は「企業チームは結果が出なければ(廃部を)覚悟しなきゃいけない、ということを強く言い続けた。闘争心、気力を植え付けた結果です」と勝因を挙げた。精神面の成長が、東北予選で敗者復活を勝ち抜き、頂点にたどりつく原動力となった。

 1959年(昭34)に準優勝した富士鉄釜石(岩手・釜石市)以来の東北勢の決勝進出で、栄冠を得た。その47年前にTDK野球部は誕生した。にかほ市のグラウンドに掲げた目標「都市対抗ベスト4を勝ち取る」の横断幕はもう必要ない。市とともに新たな歴史が始まった。【鳥谷越直子】



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