<愛知大学野球:中京大4-0愛工大>◇第8週3日目◇27日◇中京大グラウンド

 中京大のエース・小椋健太投手(4年=中京大中京)がチームの窮地を救った。負ければ最下位となる愛工大との3回戦で先発。1安打無四球で完封勝ちとほぼ完ぺきな投球を披露した。自身も防御率0・90で、1年春以来となる最優秀防御率のタイトルを獲得した。中京大は29日に2部2位校との入れ替え戦回避となる4位をかけて、名商大とプレーオフ(中京大グラウンド)を行う。

 かつて甲子園で活躍した右腕が救世主となった。中京大の先発小椋は9回愛工大の1番荻野を右飛に打ち取るとニッコリと笑顔を見せた。完全試合まであと1歩、愛工大に唯一許した安打も7回、荻野のバント安打だった。「変化球でタイミングをずらすことが出来た。今日は四球もなかったんで良い感じで投げられました」。最速137キロの直球と多彩な変化球を駆使して凡打の山を築いた。

 高校時代は140キロを超える快速球でプロの注目を浴びていた。3年生夏の甲子園では8強入り。その秋には高校日本選抜入りし、ダルビッシュ(日本ハム)、涌井(西武)らとともに台湾に遠征した。中京大進学後は1年春のリーグ戦で、防御率1・05で最優秀防御率に輝き、敢闘賞、新人賞のタイトルも獲得。順調に大学生活をスタートさせていた。

 そんな小椋にアクシデントが起こったのは、05年秋のリーグ戦。投球した際、右肩に痛みが走った。不安を感じながらも責任感で計5試合に登板した。そんな無理もたたって、右肩の状態は日常生活に支障をきたすほどまで悪化。複数の病院を訪ね歩いたが完治することはなく、2年春と秋、3年春と、3シーズンを棒に振っていた。

 今春は高校時代の球威こそないが、緩急と変化球を武器に5勝1敗。1年春以来となる最優秀防御率賞も手にした。土壇場で挙げたエースの勝利で、チームは最下位を回避。29日には名商大と入れ替え戦回避をかけた一発勝負のプレーオフに臨む。中1日での先発が予想されるが、「勝てば終わり。絶対勝ちたい」と表情を引き締めた。故障を乗り越えたエースが1試合にすべてをかける。【桝井聡】