<全日本大学野球選手権:東海大17-7明大>◇5日目◇14日◇準決勝◇神宮

 東海大(首都大学)が明大(東京6大学)に17-7の大逆転勝利を挙げ、2年連続の決勝進出を決めた。6点を追う5回、打者19人を送り10安打で16点を奪った。1イニング16点は大会記録(過去は9点)。

 東海大の三塁側ベンチに横井人輝監督(46)の大声が響いた。「取れるところで取っとけっ!

 岩田が出てきたら打てる」。5回の反撃は3点を返し、なお1死二、三塁。ここで明大はエース岩田慎司(4年=東邦)を登板させた。4番石谷潔(4年=岡山理大付)の左前打で1点差、続く近藤恭平(3年=市岐阜商)が逆転2ランを放った。

 「スライダーです。監督の言葉通り打てました」。近藤が振り返った。もう止まらない。打者19人。3四球2死球に失策も絡んで、10安打で16点を挙げた。1イニング2安打が3人、15連続得点もマークした。トドメは横田崇幸(4年=東北)の3ランだ。「悪いことばかりは続かないと、開き直って打ちました」。

 4月3日のオープン戦で岩田に完封負けした。しかし攻略法もつかんでいた。「内角は捨てろ。打席の前に立って、スライダーを打て」。狙い打ちだった。あきらめない野球は首都大学リーグで演じていた。4月27日の日体大戦は4点差を追い、9回裏にサヨナラ勝ちした。

 2年連続の決勝進出ながら昨年は早大に1-4で敗れた。そのメンバー加治前竜一(23=巨人)から大会前、プロ初打席サヨナラ本塁打の報告があり、激励も受けた。「去年の思いがあって新チームからやってきた。選手は昨日も12時までバットを振ってました」。そう話す横井監督のもとにメッセージが届いた。「明日、頑張ってください」。OB巨人原辰徳監督(49)からだった。【米谷輝昭】