今秋のドラフトの目玉、最速156キロ右腕の新日本石油ENEOS・田沢純一投手(22=横浜商大高)がメジャー挑戦する意向であることが4日、分かった。日本のドラフト1巡目候補が直接メジャー球団と契約すれば史上初になる。この日は都市対抗2回戦の三菱重工名古屋戦に先発し、5安打10奪三振で完封、3-0で8強進出を決めた。都市対抗の終了する9日以降に、メジャー挑戦を表明することになりそうだ。

 今秋のドラフトで複数球団の競合が確実だった田沢が、メジャー挑戦を表明する可能性が高まった。都市対抗後に、田沢は進路を米国球界挑戦に絞り込む。日本のドラフト1巡目候補が直接の大リーグ挑戦を表明すれば、史上初の事態になる。

 田沢に対しては日米のスカウトが熱い視線を送ってきた。オープン戦やキャンプなど、新日本石油ENEOSが練習するグラウンドにはレッドソックス、カブス、マリナーズ、ドジャースの4球団が訪れている。レッドソックスは、3月の社会人野球東京大会も視察し、すでに日本のコミッショナー事務局に対して田沢の身分照会を行った。

 この日はナイターでプロ野球を視察予定だったブレーブスのフランク・レンGMが、3人のスカウトとともに直々に東京ドームを訪れた。ヤンキースのスカウトもすでに視察を行った。GMが日本のアマチュア選手を直接視察すること自体に、田沢に対する米国側の本気度が表れている。

 田沢側は現在都市対抗に集中したい考えがある。日本選手権(11月13日~11日間、大坂ドーム)終了まではチームの一員として全力を尽くす意向で、全公式戦終了後にメジャー球団との具体的な話し合いに入る。

 現在、日本のアマチュア選手が直接メジャー球団と契約することを禁止するルールはない。関係者によると、田沢のメジャー志向は強いといい、入団を希望した場合はルール上の問題はない。日本のプロ球団に入団する可能性は残されているが、現時点では即メジャーへの思いが強い。

 最速156キロを誇る田沢は、クローザーを務めた昨年も横浜、オリックスなどが1巡目候補に挙げたが、社会人残留を決断した。今季は先発に転向し、この日は最速151キロの直球を軸に完封勝ち。2試合連続の2ケタ奪三振で再び評価を上げた。今年も国内では横浜、オリックス、日本ハムなど複数の球団が1巡目候補に挙げており、国内スカウトの中には「直接アメリカに行きだしたら、メチャクチャになる」と嘆く声もある。

 次戦は6日のJFE東日本戦になる。田沢はこの日の試合後、進路については「まだ考えていません。今はこの大会に集中するだけです」とのみ話した。