<都市対抗野球:新日本石油ENEOS1-0JFE東日本>◇6日◇準々決勝◇東京ドーム

 メジャー挑戦の意向を持つ新日本石油ENEOS(横浜市)田沢純一投手(22=横浜商大高)が、日米スカウトの前でデモンストレーション投球だ。7回1死満塁のピンチから登板し2回2/3を4奪三振無失点。1-0でJFE東日本(千葉市)を破り、4強一番乗りを決めた。

 田沢がマウンドに向かうと、ネット裏に陣取った米国スカウト陣が一斉に動きだした。0-0の7回1死満塁のピンチで登板。ヤンキース、ブレーブス、パイレーツなどのスカウトが、スピードガンを構え、ビデオを回す。国内からも、1巡目候補に挙げる横浜宮本チーフスカウトらが熱視線を送り、日米スカウト陣が田沢の投球を追った。

 先頭打者に5球連続直球勝負を挑むと、徐々にペースアップ。変化球を挟んで最後はカウント2-3から真ん中高め148キロで空振り三振に切った。続く打者は初球の内角直球で詰まらせ投ゴロ。右拳でガッツポーズを決めた。「ピンチだったので緊張したけど抑えられて良かった。きつい場面だけど、このためにやってきた」と汗をぬぐった。

 7回裏に味方打線が1点を奪うと、8、9回は危なげなく3者凡退で切った。米国球界挑戦を表明する前に、完ぺきなデモンストレーションだ。ヤンキース紀田スカウトは田沢について「キャッシュマンGMに聞いて下さい」と最後まで投球を見届けた。ブレーブスはフランク・レンGMら3人で視察し、期待の高さをうかがわせた。

 4日の2回戦は158球で完封し、中1日で38球を投げた。寮では熱湯と水風呂を交互に入り、疲れを取る工夫をしている。「注目されているので、それに見合う投球ができればと思った」と胸を張った。95年以来となる日本一まであと2勝。近鉄でプレー経験がある大久保秀昭監督(39)は「NO・1ピッチャーでしょう。あそこを抑えられるのは田沢しかいなかった」と賛辞を送った。【前田祐輔】