<北東北大学野球:八戸大1-0盛岡大>◇第3週最終日◇8日◇青森・八戸東球場

 八戸大が3投手の継投で盛岡大を1-0で下し、4勝1敗で首位岩手大に並んだ。9回から登板したプロ注目の146キロ右腕、前橋泰輔投手(4年=静岡・浜松工)は、3人を12球で料理。試合後、プロ志望届の提出はせず、社会人のHonda鈴鹿(三重)に進むことを明かした。また青森大は6-5で富士大に逆転勝ちし、通算4勝2敗で優勝戦線に踏みとどまった。

 勝利にも、前橋に笑顔はない。9回から登板し、今季最速の144キロを記録。だが先頭に四球を与えた。次打者を併殺に打ち取るも「一番いけないことをしてしまった。これじゃ次は通用しない」と反省した。

 今年の東北地区では数少ないプロ候補。最近もネット裏から巨人、西武など数球団のスカウトがマークしていた。安定した制球力とカットボールを武器に昨年の大学選手権、明治神宮大会で計8回を無失点に抑えた実績もある。だが1日、国立の岩手大に0-3で完敗。救援登板した前橋は1回を投げ2点を献上した。その2日後の3日。4年生のメンバー全員と丸刈りにするとともに、進路もスッキリと決断した。

 藤木豊監督(43)の「今プロに入っても、すぐにつぶれるぞ」の言葉も決め手になった。前橋も「プロに入るだけでなく、プロで通用する投手になるのが一番の目標だから」と自身の投球を省みた。ヤクルト川島、楽天青山ら数々の投手をプロに送り出した監督の言葉を受け入れた。

 最速を高校時代から7キロ上げ、大学で頭角を現した右腕。藤木監督は「まだ、のびしろがある。もうひと山越えれば2年後(プロ)は間違いないでしょう」と太鼓判を押す。東海地区の強豪への進路を決めた前橋は「優勝するだけ」と有終の美を飾ることを誓った。【清水智彦】