<東京6大学野球:明大11-3立大>◇第7週3日目◇27日◇神宮

 明大・野村祐輔投手(1年=広陵)が立大戦の9回1イニングを無失点に抑えシーズン防御率0・00の快記録をつくった。通算34回2/3を投げて自責点0。現行の規定投球回数(試合数×2)を当てはめると、64年春の江尻亮(早大)以来44年ぶり5人目の快挙だ。試合は明大が11-3で大勝、勝ち点3とした。

 明大野村の目は潤んでいた。防御率0・00を決めた喜びではなかった。4年生が最後となる公式戦の最終マウンドを任された感激、感謝の思いだった。「1年生が(マウンドに)立っていいのかなあと。4年生に守ってもらってうれしかったです」。

 9回の登板直後に連打された。無死一、三塁。ここで野村は開き直った。「もう(失点しても)いいや、と思いました」。ところが4年生が並んだバックは前進守備を敷いた。8点差があるのに、1点もやらない守り。二ゴロ、2者連続三振で自責0を守り抜いた。「甲子園より今日の方が緊張しました」。昨夏の準優勝投手はこういって苦しいマウンドを振り返った。

 7試合、34回2/3で自責点0。慶大2回戦で1失点したが、捕手の悪送球が絡み自責点ではなかった。史上5人目の快挙。過去の4投手よりも投球回数が多い。「いい先輩に恵まれ、今の自分があると思います」。立大戦を前にした22日、野村は善波達也監督(46)と記録のかかる登板について話し合った。結論は記録狙いの回避はしない、4年生も納得する場面で登板するだった。

 野村は「いい経験をさせてもらっているんで、自分たちが引っ張っていかないといけない」。早大斎藤佑樹(2年=早実)の0・71を上回り最優秀防御率初受賞を決めた1年生は、潤んだ目を来季に向けた。【米谷輝昭】