<社会人野球日本選手権:ヤマハ5-1茨城ゴールデンゴールズ>◇14日◇1回戦◇京セラドーム大阪

 萩本欽一監督(67)率いる茨城ゴールデンゴールズは1-5でヤマハ(静岡)に敗れ、企業チームに2年連続で初戦敗退。欽ちゃんは来年以降、都市対抗、日本選手権の社会人2大大会から“引退”を宣言した。

 試合後の会見で、欽ちゃんから衝撃的な言葉が飛び出した。「今年で最後です。だから泣けてきたの」。“引退”は試合前夜、選手に伝えた。監督4年目で、初めてスタメンを全部自分で決めた。「今日は初めて誰にも触らせなかったの。だから責任取るの。今日は僕にとって、天国か地獄の試合でしたからね」。

 大将の願いもむなしく、初回に4失点すると反撃は1点止まり。またしても企業チームの壁は破れなかった。「上には上の上がある。今日知りましたね」。来年以降、社会人相手の2大大会は予選からベンチ入りしない。チームは存続し、3連覇を目指す全日本クラブ選手権などは、今まで通り指揮を執る。

 試合後のミーティングを終えると、欽ちゃんはしみじみしていた。「あんな暗いGGは初めて見たよ。監督いなくならないでって顔してんだもん」。“引退”は4年目を迎えたチームへ、カンフル剤の意味もある。「まだ明日があるってやってたら、強くならない。つまらないじゃない、それじゃあね」。

 だから、選手に呼び戻されたら“引退撤回”する。「5年はかかるでしょうね。それが3年になるかなぁ。息子たちに父ちゃん帰って来いって言われるのが楽しみ」と、企業に勝てるチームになる日を待っている。だから監督はずっと「不在」のまま。会見の最後は「みなさん長い間ありがとうございました。また5年後に会いましょうね」と深々頭を下げた。欽ちゃんと茨城GGの物語はひとまず幕を閉じ、「新しいページ」に向かう。【前田祐輔】