<全日本大学野球選手権:富士大5-4近大>◇4日目◇12日◇準々決勝◇神宮
富士大(北東北)が5-4で近大(関西学生)に9回サヨナラ勝ちし、3戦連続1点差の逆転勝利で初の4強入りを決めた。1-4の8回裏に、5番吉田翔吾(栃木・佐野日大)の2試合連続2ランなどで同点に追い付き、9回は代打・目時大(ともに4年=岩手・福岡)の初球押し出し死球でミラクル勝利を収めた。北東北勢としても、最高タイとなる5年ぶり4度目の4強入り。13日の準決勝・創価大戦でリーグ史を塗り替え、東北勢2校目の決勝切符をつかむ。
“大学日本一初登頂”を目指す富士大が8合目(8強)を突破した。4-4で迎えた9回裏1死満塁。右打席に立った全国大会初打席の、目時の左すね外側を144キロの初球が直撃。瞬間、大歓声とともに富士大の紅白のユニホームが入り乱れた。1度もバットを振らず、まさに“大当たり”の目時は「痛いです。まだしびれています。でも勝ったからいいです」と喜びに浸った。
連続完投のエース守安玲緒(4年=愛知・菊華)に代わり4投手が神宮デビュー。中でも0-2の3回から2番手で登板した左腕・中村恭平(3年=島根・立正大湘南)が、度肝を抜いた。初球にいきなり146キロ、2球目には自己最速149キロをマークするなど速球を連投。5回まで3安打無失点に抑えた。大会前に急きょ、追加登録された伏兵は「ショートリリーフだったので最初から飛ばしました。少しバテました」と笑顔を見せた。
打線も、東北勢が過去1勝10敗と歯が立たず優勝4回を誇る西の雄に、ひるむことなく攻撃を仕掛けた。法大4年秋の明治神宮大会や、社会人でも全国舞台を経験してきた青木久典監督(36)が「(大舞台でも)ノビノビやってほしい」というメンタル指導が奏功。2戦連弾含む2安打3打点で9回裏にも敬遠で満塁の好機をつくった吉田は「レベルの高い社会人と練習試合をしてきたし、同じ大学生なので負ける気はしなかった」と胸を張った。
頂上制覇まであと2勝。ベースキャンプは作った。岩手・宮城内陸地震から14日で、ちょうど1年。青木監督は「少しでも地元を元気づけられれば」と意欲を見せる。センバツでは甲子園に「花巻旋風」が吹き荒れた。南部富士(岩手山)のおひざ元の富士大が、名実ともに日本一の山頂を狙う。【佐々木雄高】



