<日米大学野球:日本7-5米国>◇第2戦◇13日◇東京ドーム

 日本代表の早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)が強力米国打線を5回4安打2失点に抑え、7-5で勝利に導いた。スタンドでメジャー11球団のスカウトが熱視線を送る中、1回に2失点したが、頭脳的な投球を披露。2回以降立ち直り5奪三振の力投で米国相手に通算2勝目を挙げた。これで日本代表は1勝1敗の五分に戻した。第3戦は14日、仙台市内のクリネックススタジアム宮城で行われる。

 175センチの斎藤が、巨漢打線に立ち向かった。米国先発は196センチ、104キロの大型左腕ポメランズ。まるで大人と子供の体形だが、ひるまなかった。1回に2安打2四死球で2失点したが、2回に立ち直る。わずか6球で3アウトを奪い、3回の反撃を呼び込んだ。「持ってる男」の力は大一番でも健在だった。

 外角スライダーを有効に使う頭脳的な投球で、ピンチをしのいだ。「僕の直球では、単純に通用しないですからね」。3回2死一、二塁では、捕手のサインに首を横に振って外角121キロで空振り三振。奪った5三振はすべてスライダーだった。「最初に打たれた時はどうなるかと思った」と明かしたが、動揺は見せず「ボール気味の変化球で組み立てた」と試合中に修正する能力が光った。

 スタンドにはメジャー11球団のスカウトが集結。メッツ大慈弥スカウトは「米国チームにはアマチュア担当が付いている。今日来たスカウトは日本チームが目当て」と説明した。日米スカウトの熱視線の中、堂々と勝ち星を挙げた。

 1年夏の07年大会以来の米国戦だった。昨夏の世界選手権は準決勝の韓国戦に先発し、決勝の米国戦は登板がなかった。銀メダルに終わった姿をベンチで見つめ、早実3年夏の甲子園優勝以来の涙を流した。2年間待ち続けた舞台。悔しい思いを、指先に込めた。

 早実時代から4年連続で高校、大学の日本代表に名を連ねるが、国内の試合は初めて。1万2000人のファンも、成長した斎藤に声援を送った。亜大・東浜ら若い力が台頭。見られる立場に変わったが「年は関係ないですから」と、後輩の調整法などを吸収する。榎本監督は「次も頭でいきたい」と次回先発は最終戦16日(神宮)が有力。「変化球投手と思われているので、今度は直球で押したいです」。連覇をかける可能性があるマウンドで、日本のエースが再び米国に立ちはだかる。【前田祐輔】