<都市対抗野球>◇30日◇準々決勝4試合◇東京ドーム

 巨人が今秋ドラフトで1位指名する方針のホンダ(狭山市)長野久義外野手(24=日大)が、「盗難」を自らの1発で振り払った。試合前にユニホームが紛失。チームメートのものを緊急着用し、6回無死から左翼スタンドにソロを放った。4-2で東芝(川崎市)を破り2年連続の4強入り。今季限りで休部する日産自動車(横須賀市)は準優勝した06年以来の4強進出を決め、31日の準決勝はトヨタ自動車(豊田市)との「自動車対決」に挑む。NTT東日本(東京都)も4強に進んだ。

 背中の名前は「CHONO」でも「MORI」でも中身は変わらない。6回無死、長野は初球の140キロ直球を弾丸ライナーで左翼席へたたき込んだ。ファーストストライクは見逃さない姿勢がある。未来の本拠地、東京ドーム初本塁打に「積極的にいけている」と手応えは十分だった。

 試合前のウオーミングアップ中に、ユニホームがなくなった。一般の人も進入可能の駐車場で、バッグの上にユニホームを置いていた。気付いたのは試合直前。「僕の不注意でもあります」と猛省した。すぐに関係者が合宿場がある埼玉・狭山市に向かったが間に合わない。少し大きかったが、13キロ重い93キロの森義博内野手(24=東洋大)のものを特例で着用した。

 日本野球連盟関係者は「盗難とは断定できませんが、都市対抗でユニホームがなくなるのは初めて」と前代未聞のハプニングだった。すでに巨人が1位指名を表明し、社会人では群を抜く知名度から起きた「事件」とも言える。ユニホームは複数枚あるといい、31日の準決勝は「CHONO」を身にまとう。