<東京6大学野球>◇第1週初日◇12日◇神宮

 秋季リーグ戦が開幕し、慶大のドラフト候補左腕、中林伸陽投手(4年=慶応)が完投発進した。137球を投げ、9安打5四死球ながら、8奪三振で9-4と先勝。リーグ通算15勝目を挙げた。2季連続優勝を狙う法大は延長10回4-2で東大に辛勝。左脇腹痛の影響で、今春のリーグ戦は途中離脱した加賀美希昇投手(3年=桐蔭学園)が9回2失点(自責1)で勝利を飾った。斎藤佑樹投手(3年=早実)擁する早大は、第2週(19日~)の東大戦から登場する。

 慶大・中林の直球は、1回に147キロをマークした。同じくドラフト候補に挙がる立大・戸村に投げ勝ち、通算15勝目。「真っすぐが今日は良かった。苦しかったけど、神宮で投げられて楽しかった」と大学ラストシーズン初戦を完投で飾った。

 春は2勝5敗と結果が出なかった。もともとプロ志望は強い。「春は(プロを)意識し過ぎてダメになった。秋は神宮で投げる楽しみをかみしめたい」と無心で腕を振った。阪神菊地スカウトは「ボールの力は春より出てきている」と期待する。4失点(自責3)したが、いずれの回も最少失点で切り抜けた。春は5敗中3敗が1点差負けだった。「そこが春とは違った」と崩れなかった。

 9安打5四死球の内容に「乗り切れなかった」と反省は忘れず、前を向く。相場勤監督(45)は今季限りで退任する。「エンジョイベースボール」の精神で、10季ぶりの頂点を目指す。