<東都大学野球:立正大4-0青学大>◇第5週最終日◇28日◇神宮

 立正大が4-0で青学大を破り、悲願の初優勝をつかんだ。6回に中島辰也三塁手(2年=銚子商)が2ランを放ち先制、小石博孝投手(4年=鶴崎工)がリーグ戦初完封した。これで勝ち点4となり、創部61年目の初優勝を決めた。1部で前季最下位チームの優勝は、00年の東洋大以来4回目。青学大は98年春以来の最下位で、来月7日から2部優勝の国士大と入れ替え戦を行う。

 マウンド近くで跳びはねる立正大ナインを、伊藤由紀夫監督(58)はベンチ前でじっと見つめた。涙はない。そんな監督が「あのときはウルッときた」と振り返った。初完封した小石がウイニングボールを手渡してくれたときだ。「いいのか?」。「いいです」。94年の就任以来、初めて手にする優勝のボールだった。

 指導してきた野球が優勝を決めた。6回1死一塁、中嶋が初球をとらえた。先制2ラン。「真っすぐに絞って初球からいきました」と中嶋。伊藤監督は指導する際こう言う。「しっかりと振れ。空振り、ファウルでもいいんだ。そこで考えろ。見逃しは次につながらない」。その思い切りのいいスイングだった。

 春は優勝候補で、選手もその気でいた。結果は最下位。入れ替え戦を経験させられ、選手の姿勢が変わった。グラウンドのある熊谷市は日本一暑い地。そこで打撃練習を続けた。練習後には自主練習。中嶋も「夏はよく打ったという意識があります」という。春の1本塁打が8本に増えた。伊藤監督が日本通運に入社した当時もそうだった。「夜中2時ぐらいまでスイングしました」。立正大から強豪企業に進んだ第1号。有名大の出身者が並ぶ中「立正大ってどこにあるんだ」と言われて奮起した。

 今や立正大にも横浜、銚子商、静岡など有名高校の出身者が並ぶ。2年前に大学では異例のGM制を導入し、選手の勧誘も担当の新井功氏(64)が手腕を振るう。一方で学業を優先させ4年生は全員が前期で全単位を取得した。これもまた野球に集中できた要因だろう。伊藤監督は「4年生がよく引っ張ってくれた。環境を整えてくれた学校にも感謝です」と話す。

 といって満足はしていない。「この(ウイニング)ボールを増やさないと」。こういって優勝報告会が開かれる大崎キャンパスに向かった。【米谷輝昭】