<社会人野球:日本選手権:三菱重工横浜8-2JR北海道>◇12日◇1回戦◇京セラドーム大阪

 3年連続4度目の出場のJR北海道は三菱重工横浜(神奈川)に2-8で敗れた。全国は昨年の都市対抗以来の先発となった150キロ右腕・湊倫也(みちや、24=日体大)が、2-2の5回2死満塁で走者一掃の左翼越え二塁打を浴びて降板。今季、三菱ふそう川崎から移籍した2番手福山雄(26=法大)も7回に3ランを許し、力尽きた。JR北海道は都市対抗も初戦で敗れており、全国未勝利で今シーズンを終えた。

 真っ向勝負で跳ね返された。2-2で迎えた5回、エース湊は、三菱重工横浜の重量打線に自慢の147キロ速球で挑んだ。自らの3四球で招いた2死満塁ピンチ。相手は今年東北大会優勝、全国でも上位を争う打線を持つ。この場面、何としても力で抑えたかった。指名打者渡部の内角を3球続けて攻めた。しかし、最後、少し甘くなった球を捕らえられた。左翼越え二塁打。球が転々とする間に3人が生還した。日本選手権のチーム初勝利が遠ざかっていった。

 高岡茂夫監督(59)は「湊は5回の勝負どころで力んだね。あそこを乗り越えられれば本物なんだが」と振り返った。湊も「勝負に行ったのは当然、でもやはり制球が甘かった」と反省の言葉を口にした。社会人1年目の昨季、都市対抗本大会の日本通運(さいたま市)戦、富士重工(太田市)戦で2試合連続KO。1球の怖さを嫌というほど味わった。

 その反省から今季は制球力をつけるためにフォームを修正した。この日はその屈辱のマウンドから満を持して臨んでいたが、4回2/3を投げ5失点。またも苦い思いが残った。今秋、ドラフト候補の1人として名前は挙がっていたが、結局どこからも指名はなかった。湊は「ここで結果を出さないとプロはない」と唇をかんだ。課題は本人もしっかりと把握している。来年は社会人3年目、勝負のシーズンが待っている。【中尾猛】