<全日本大学野球選手権:東洋大5-1八戸大>◇準決勝◇12日◇神宮

 八戸大(北東北)は東洋大(東都)に敗れ、チーム初の決勝進出を逃した。リーグ戦から今季、防御率0・00を続けてきた左腕エース塩見貴洋(4年=愛媛・帝京五)が7回を5安打3失点で降板。打線もソロ本塁打による1点しか挙げられずに力尽きた。

 塩見の連続無失点記録が56イニング目で崩れた。8回途中から救援して延長14回を投げ抜いた11日の準々決勝(北大戦)に続き、今大会3連投。初回裏、連続2四死球に自らの犠打野選で無死満塁の窮地を招き、1死から内野ゴロで失点した。6回にも不運な内野安打から傷口を広げ、3連打で2失点。塩見は「記録は気にしていません。疲れは感じませんでした。最後まで投げられなかったことがとても悔しい」と目に涙をためて振り返った。

 試合前には急きょ、大学日本代表候補に追加選出された。スタンドでは大商大時代に控え投手で神宮出場経験のある父邦義さんと母晴美さん(ともに48)も応援。神宮で登板機会のなかった邦義さんは「大満足です。これで終わりではない。自信になったと思います」。全国デビューで2勝を挙げ、自分の果たせなかった夢をかなえてくれた息子の晴れ姿に目を細めた。

 前回4強入りした04年準決勝の日大戦に続き、またしても東都勢の壁に泣いた。チーム記録更新と、北東北リーグ勢2年連続の決勝進出を逃した。藤木豊監督(45)は「とにかく打てなかった。今は頭の中にシャッターが下りているので、ゆっくりと考え直したい」と控えめに話した。初戦で佛教大・大野、この日は東洋大・乾と、同じプロ注目の4年生左腕エース対決を経験した塩見は「負けたくない。秋にもう1回ここ(神宮)にきて全国優勝したい」と再挑戦を誓った。【佐々木雄高】