<世界大学選手権:日本13-0台湾>◇4日◇準々決勝◇横浜

 国際大会先発デビューという緊張感などみじんも感じさせなかった。日本代表初先発となった東海大・菅野智之投手(3年=東海大相模)が、圧巻の投球を披露した。最速150キロの直球を武器に押しまくり、5回を4安打無失点。菅野の好投に打線も応えて7回コールド、13-0と大勝した。5日の準決勝米国戦に先発予定の早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)にバトンをつないだ。

 試合を締める抑えとして出てきたかのように、初めから菅野のエンジンは全開だった。1回にこの日最速の150キロを3度計測。そこに140キロを超えるカットボール、100キロ台までスピードを殺すカーブが加わり、変幻自在、緩急自在の快投を続けた。5回にも再び150キロを計測するなど、堂々のゼロ封で代表初の先発マウンドからお役御免となった。それでも「点も取ってくれて、よく守ってくれて助けられた。次投げる時は自分の力で勝てるようにしないと」。笑顔は見せなかった。

 榎本保監督(55=近大)の信頼は絶大だ。これまで抑えとして起用してきた3年生を一発勝負の試合で先発に指名し「ここからが本当の勝負。先発ピッチャーの確率で考えると、僕には(斎藤と菅野の)2人しか出てこない」とほめた。ネット裏の評価も同じ。ソフトバンク宮田スカウトは「今年のドラフトにかけても1位で競合するだろう」と絶賛した。

 チームは悲願の頂点に一歩近づいた。準決勝に向けて榎本監督は「一番難しい、大事なゲーム。あえて言いませんが、皆さん分かっているでしょう」と斎藤の先発を示唆。菅野がつくった最高の流れは、エースに引き継がれた。【亀山泰宏】