<東京6大学野球:早大4-2明大>◇第3週初日◇25日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、日米9球団の前でリーグ史上13人目の300奪三振を達成した。299三振で迎えた明大戦に先発し、6回3安打4奪三振で大台突破。明大・野村祐輔投手(3年=広陵)との「佑」「祐」対決を制し、通算29勝として、30勝に王手をかけた。「30勝&300三振」なら史上6人目になる。同点の6回、早実の後輩で今季初先発の大野大樹外野手(1年)が決勝の2点適時三塁打を放った。

 節目の三振は、スライダーで奪った。1回1死、斎藤は2番上本を2-0と追い込み、外角低めの宝刀で空を切らせた。特別の感慨は見せない。淡々と、続く3番中村からもスライダーで301個目を奪った。通算57試合目で到達した史上13人目の記録には「意外と取ってる」が感想だった。

 早実3年夏の甲子園は、7試合で史上2位の78三振を奪った。「高校の時は取りたいときに三振が取れた。大学では思うところに投げられない、投げても振ってくれない、そういう部分で苦しんだところはあった」と胸の内を話す。早大OBのソフトバンク和田は476三振。頂は高いから、引き締める思いは強い。

 最速は146キロで、4回まで外野に飛んだ打球は0。4回に不運な内野安打で1点を失ったが、序盤から変化球主体でボール球を振らせた。「市丸の配球」と今季からバッテリーを組む女房役をたたえる。開幕前には佐賀北で全国優勝した市丸の実家、佐賀市のお菓子店「まるいち」を訪れ、家族でだんらん。6回を3安打1失点でまとめ、大台30勝に王手をかけた。

 空き週は大好きなハリー・ポッターのDVDでリラックス。来秋ドラフトの目玉、明大・野村とは学生最後の対戦になる可能性があった。後輩に力を見せて、投げ勝った。「あと1勝じゃなくて、優勝のためには何勝もしなくちゃいけない」。節目の勝利は、チームのために取りにいく。【前田祐輔】