はじめまして! 今回aiライターズコラムを担当させていただきます。米虫です。
2017年プロ野球シーズンが開幕してまもなく1ヶ月。今年もフレッシュなルーキーたちが続々とデビューを飾っています。
昨年最下位からの巻き返しを図るオリックスでも、イキのいいルーキーがチームに勢いをもたらしています。ドラフト2位の黒木優太投手、ドラフト8位の澤田圭祐投手に続き、4月13日にはドラフト1位の山岡泰輔投手(21)がデビューを果たしました。
- 入団時、スーツ姿の山岡選手。イケメンでオシャレ! 今後の人気にも注目です!
開幕前から福良淳一監督は山岡投手を開幕ローテーションに入れると明言していましたが、試合日程の関係で初登板まで約2週間かかりました。
その間、黒木投手や澤田投手がリリーフとして登板しているのを見るたびに、「自分も早く投げたい!」とうずうずしていたそうです。
いよいよ登板日が翌日に迫った12日。心待ちにしていたその日が来るというのに、ちょっと不機嫌そうな顔でグラウンドに表れた山岡投手は開口一番、このひと言。
「最悪や! 鼻の下にニキビできた……」
思わず笑ってしまいましたが、お顔をよーく拝見させていただくと、確かに鼻の下に赤いものがポチリ。
「明日はデビュー戦だからテレビにアップで映りまくるのに。一生残るのに」という心の声が聞こえてくるようでした。
ところが翌日の登板日になると、ニキビがほとんどわからないくらい小さくなっていました。
「なんか白いものが出てきたんでつぶしちゃいました」といつもの爽やかな笑顔で明かしてくれた山岡投手。
邪魔者は始末してスッキリした気持ちで初登板を迎えることができたようです。
初登板の千葉ロッテ戦は、初回こそ少しコントロールに苦しみましたが、それでも0点で切り抜けると、2回以降は多彩な変化球とキレのあるストレートを駆使して打者を手玉に取り、4イニング連続の三者凡退と見事なピッチングを見せてくれました。
普段は“いたずらっ子”という雰囲気ですが、マウンドに上がると一変。表情がキリリと引き締まります。
かと思えば、味方の攻撃時にはベンチでバッターの応援歌を口ずさむというリラックスぶり。大物です。
0-0の緊迫した展開が続きましたが、6回裏にT-岡田選手のソロ本塁打でオリックスが1-0とついに先制しました。その瞬間、ベンチの山岡投手は跳びはねながらガッツポーズ。
ところが7回表、先頭打者を四球で歩かせてしまいます。井上晴哉選手に安打、続く細谷圭選手には本塁打を許し1-3と逆転され、マウンドを下りました。
勝利をつかみかけたところからの逆転負け。試合後、山岡投手はこう振り返りました。
「Tさんのホームランはめっちゃ!嬉しかったです。でも気持ちが入りすぎたかもしれない。この1点を守りたいという気持ちが強くなっちゃって、それが裏目に出たと思います。そのあたりは経験ですね」
悔しさいっぱい。でもそれ以上に、「楽しかった」という興奮が上回っているようでした。
「投げていてすごく楽しかった。人生でプロ初登板というのは一度しかない、今日しかないので、その“初”を楽しみたいと思っていました。それができたのはよかったです」
ルーキーらしからぬ投球術と若さの両面が出た初登板。惜しくも勝利にはつながりませんでしたが、“将来のエース”と期待を持たせてくれる投球でした。次回の登板も楽しみです。
山岡投手の巧みなピッチングに加え、マウンド、ベンチでの表情にも、皆さんぜひ注目してみてください。(米虫紀子)
◆米虫紀子(よねむしのりこ)大阪府出身。今も大阪在住。甲子園に感化され、高校時代はヘタクソながらもソフトボール部に所属。現在はフリーライターとして野球、バレーボールを中心に取材。プロ野球aiではおもにオリックスの記事を執筆しています。