西武森が1回、ソフトバンク・デスパイネのバットが左手首に直撃して途中交代した。初球の高めに浮いた直球に対して、手を伸ばして捕球した際に、空振りしたバットをよけられなかった。アクシデントに見えるかもしれないが、準備があれば防げたプレーだ。

デスパイネとの対戦は今季初めてではない。空振りのフォロースルーが大きくなる癖は分かっているはず。私もWBCでキューバ代表と対戦した際には同じようなケースが多かった。危機管理のために、ミットを前に出して捕球するのではなく、ミットを引いて捕球する「引き捕り」をした。プレースタイルを変えても、バットが直撃するリスクを回避した。デスパイネの打席では、ホームベースから少し下がって構えるのも1つの方法になる。第2回WBCの城島捕手は、キューバ戦では左腕にプロテクターをして、直撃に備えた“準備”をしていた。

「引き捕り」をすることで、例えば走者がいれば盗塁された際に送球が遅れることもあるだろう。ただ森のケースは柳田に2ランを浴びた直後で、2死走者なしの場面だ。短期決戦で主力が離脱することはチームにとって大きな痛手。特に森は前日まで3試合連続安打と西武打線の中でも欠かせない存在になっていた。

2点を追う6回2死二、三塁のチャンスでは、森に代わって途中出場した7番岡田に打順が回った。フルカウントから、外角低めのスライダーで見逃し三振に倒れた。一方のソフトバンクは正捕手甲斐の2ランで西武を引き離し、リード面でも2失点に抑えた。強力打線が売りの西武だが、ファイナルステージは秋山、中村ら主力に本調子ではない選手が多いだけに、好調森の離脱は痛かった。(日刊スポーツ評論家)