日本ハム紅白戦 4回裏無死、中越えに本塁打を放つ王柏融(撮影・黒川智章)
日本ハム紅白戦 4回裏無死、中越えに本塁打を放つ王柏融(撮影・黒川智章)

日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(46)が日本ハムの紅白戦を視察し、王柏融外野手(25=台湾・ラミゴ)をチェックした。バックスクリーン左にたたき込んだ“来日1号”に、確かな技術を感じ取った。

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台湾球界No.1打者の王が、どんな打撃をするか楽しみにしていたが、評判通りの「技術力」を持っている。日本ハムはロッテに移籍したレアードの穴を埋めるどころか、大きな戦力アップが期待できる。

2打席目に放った本塁打は、風の影響がなければセンターフライだっただろう。しかし、ホームベースから左中間に向かって吹く風に乗るような、やや左に切れていく“スライス回転”の打球だった。打ったのは、やや内角寄りの甘い直球だが、この球をセンター方向にスライス回転気味のフライを打つには、高い技術が必要。多少、窮屈な形になっても、バットを内側から出し、打球にスピンをかけるようなスイング軌道で打たないといけない。そして打球を押し込むパワーもある。

右投げ左打ちの打者が陥りがちの“弱点”がない。ネクストバッターでスイングをするところから見ていたが、軸足になる左足の使い方がうまい。右投げ左打ちの打者はスイングする際、利き足でない左足に力をためることが苦手で、内側に折れるタイミングが早くなる傾向がある。こうなると、打球を下半身で押し込めない。直球に対してドンピシャのタイミングが合った時はいいが、変化球にもろさが出る。台湾で素晴らしい成績を残せたのも、利き足でない左足を力強く、器用に使えるからだろう。選球眼もよさそうで、穴の少ないタイプ。本塁打を量産するような感じはしないが、ある程度の長打力もありそうで、日本ハムにはいないタイプの打者。どの部門でもレベルの高い数字を残せそうだ。(日刊スポーツ評論家)

日本ハム紅白戦 4回裏白組無死、本塁打を放つ王柏融(撮影・井上学)
日本ハム紅白戦 4回裏白組無死、本塁打を放つ王柏融(撮影・井上学)