梨田氏のチェックを受けながらフリー打撃をするマルテ(撮影・上田博志)
梨田氏のチェックを受けながらフリー打撃をするマルテ(撮影・上田博志)

昨季まで楽天監督を務め、4年ぶりに日刊スポーツ評論家に復帰した梨田昌孝氏(65)が19日、阪神の沖縄・宜野座キャンプを視察した。注目したのは中軸候補の新外国人ジェフリー・マルテ内野手(27=エンゼルス)。チームの浮沈を握る存在だけに、シーズンでの活躍に期待を込めて辛口の指摘と助言が相次いだ。【取材・構成=松井清員】

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KIA戦を前にしたマルテのフリー打撃を見たが、おとなしさ、物足りなさを感じた。最初の10~15球でセンターから右を意識するのは分かるが、キャンプももう19日目。体も一番動いてきて持ち味をアピールできる時期だが、その後も同じようなスイングで柵越えも少なく、パワーは感じられなかった。日本人を差し置いて起用する“中軸期待の助っ人”なら、20本塁打は打って欲しいのが監督の願いだ。これから状態を上げていくのだろうが、今日の時点では疑問符をつけざるを得ない。

試合前に行うフリー打撃は対戦相手、特に投手はよく見ている。そこで怖さを与えられるかどうかが重要で、実際の打席で優位に立てるか、不利に立つかの分かれ道になる。強引にでも引っ張って、甘い球がいけば危ないぐらいのスイングを見せることはとても大切だ。でもナバーロと同じく、2人のスイングに怖さは感じられなかった。甲子園では右打者に優位に吹く浜風がある。その浜風を利用するのが成功の近道で、引っ張って打球を上げる練習に時間を割いてもいいのではないか。

技術面でも気になる点があった。打ちに行った時に左肩が少し内に入る傾向がある。その分、真っすぐに遅れて差し込まれたり、変化球に泳がされる危険性がある。実際にこの日、打者に気持ちよく打たせるはずのフリー打撃でも、タイミングが合わない場面が目立ったのはそのためだ。相手が必死に抑えにくる試合では、もっとタイミングを外される可能性がある。その課題を早く知る意味でも、KIA戦を雨で流したのは残念だった。もちろん今後実戦を重ねる中で改善していくのだろうが、どれだけ修正能力を持っているかも成否を分ける。(日刊スポーツ評論家)

宜野座を訪れた本紙評論家の梨田氏、左は清水ヘッドコーチ(撮影・上山淳一)
宜野座を訪れた本紙評論家の梨田氏、左は清水ヘッドコーチ(撮影・上山淳一)