3年目の阪神浜地真澄投手(20)が、プロ初先発の巨人戦で負け投手となった。2本の本塁打を浴びるなど4回9安打6失点の悔しい結果だったが、野球評論家の権藤博氏(80)はイキのいい投球内容に目を向けた。

 ◇    ◇   

浜地はいい。すごくいいね。全体的に球が高く、4回で2発を浴びて6失点したけど、数字は評価に値しない。この3連戦の巨人打線は手の付けられないスゴさで、誰が投げても打たれますよ。評価したいのは打たれた同じ球で、しかもストライクゾーンでやり返した堂々の投げっぷりです。

たとえば初回、岡本に甘く入ったスライダーを本塁打されたけど、3回の2打席目は威力ある高めのスライダーで空振り三振に斬った。ゲレーロも第1打席で甘い真っすぐをヒットされたけど、2打席目は威力ある内角高めの真っすぐで空振り三振に仕留めた。

普通、前の打席で打たれた球種で勝負できませんよ。次は少しボール気味に、とか慎重になっておかしくない。別格の巨人打線ですからね。でも高校を出て3年目、まだ20歳の右腕が、プロデビュー戦が伝統の一戦という大舞台で、自分の投球を貫いた。大当たりだった丸なんて手も足も出ず、2打席連続フォークで見逃し三振ですからね。四球0も素晴らしい。奪三振も6個。立派のひと言です。

スピードは140キロ台前半だけど、ボールにキレがあって、どの変化球でもストライクが取れるのが大きな特長。打たれたことばかり反省させて、もっと際どいところに投げなさいとか細かいことを言ったら、持ち味がつぶれますよ。相手が巨人でなかったら十分通用したでしょう。こういう投手を大事に育てて欲しい。大きく育つ期待感がたっぷり、将来が楽しみな投手ですから。(野球評論家)