阪神が同率3位で並んでいたヤクルトとの直接対決を制し、Aクラスを死守した。8回に中継ぎのジョンソンが相手の主軸を抑え、ドリスにバトンタッチ。日刊スポーツ評論家の山田久志氏は3番山田哲、4番雄平から連続三振を奪った場面を解説した。

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1点差で逃げ切った阪神は、ジョンソン、ドリスの2枚が控える強みを生かすことができた。

山田 特に8回を抑えたジョンソンだね。自ら招いたピンチだったが、山田哲、雄平を抑えたのは、このピッチャーがいかにクレバーなタイプであるかを、あらためて証明してみせた。

8回。代打宮本の左前打と犠打で1死二塁。青木の打席でまさかの三盗に四球で一、三塁になった。ここでジョンソンが、3番山田哲、4番雄平を連続の空振り三振に仕留めたのだ。

山田 山田哲に対する1、2球目の入りは完璧だった。初球はスライダーが外角の厳しいコースに決まった。続くインコースへのストレートは、まったく相手打者の想定外のボールだったはずだ。勝負はこの“1球”がすべてだった。次の0-2からの3球目は外すつもりが、それをまんまと振ってくれた。

8回表1死一、三塁。山田哲のバットは2ストライクをとった後、3球目のボール球に空を切った。そして、雄平には1-0から2球連続で空振りの後、1-2からの4球目に投じたスライダーのボール球を振らせた。

山田 雄平から空振りをとった1球目は大きく左足を上げ、2球目はクイックで投げた。そして、最後に空振りをとったスライダーは再び左足を大きく上げるのだった。つまりすべてタイミングを外すことに成功したといえる。阪神バッテリーの勝ちだ。

今シーズン対ヤクルトの10試合では、2点差以内のゲームが8試合もある。

山田 どちらのチームも苦しいが、カード初戦をとった阪神のほうは、これで3連敗を喫した広島ショックが消えたといえるだろう。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

▽梅野も8回の正念場をお立ち台で興奮気味に回想した。1つ間違えれば即失点につながる場面。インタビュアーの質問に対して「ジョンソンの、山田哲人の2球目のインコースが、あれがほんとにポイントで、三振を取らないといけないところで取れたし、あとは信じて後ろの打者を取ることができた」と観衆に分かりやすく解説していた。

阪神対ヤクルト 8回表、ジョンソンが登板(撮影・上山淳一)
阪神対ヤクルト 8回表、ジョンソンが登板(撮影・上山淳一)