今年の広島を象徴する試合だった。3連覇をやり遂げたチームだが、現状では冷静さを欠いている。何とかしたいという気持ちは分かるが、チャンスにおいて昨年までなら考えられないような凡打の内容だった。

初回1死満塁での5番松山。DeNA浜口は不安定で、この回でKOできるチャンスがあった。カウント1-1で追い込まれるまではヒットを狙い、待ち球を絞っていい。だが外角へのスライダーに泳がされる形で凡退し、狙っていた球のようには見えなかった。

打率3割台で孤軍奮闘している4番鈴木も得点圏打率は2割2分2厘。3連覇中は3割前後を残していた中で、自分が決めないとという気持ちばかりが前に出ている。1歩引いて、ケースによっては後ろにつなぐ意識も必要だし、最低でも2割5分以上は欲しい。

ベンチの苦悩は昨季は16通りだった1~4番までの打順が、今季は現時点ですでに同じ16通りとなっていることに表れている。借金8から一時、貯金14まで盛り返したように爆発力はある。だがマツダスタジアムで次カードの巨人戦に負け越せば、4連覇の可能性はなくなると思う。(日刊スポーツ評論家)