5回裏阪神1死一塁、鳥谷敬の右前安打で福留孝介は三塁へ向かう(撮影・奥田泰也)
5回裏阪神1死一塁、鳥谷敬の右前安打で福留孝介は三塁へ向かう(撮影・奥田泰也)

4時間33分。阪神、DeNAの両軍とも、勝ち越せなかったというより、逃げ切れなかった印象が強いドロー劇だった。

真弓 阪神としては負けなくてよかったという引き分けだった。ただチーム全体から感じたのは、なかなか点をとれなかった状態から、少しバッティングの状態が上向いてきているということだ。このゲームでは、福留1人が戻ってきただけで戦いの内容が変わった。鳥谷が完璧なフィールディングをみせたのも見逃せなかった。

例えば5回、最後は梅野のスクイズで先取点を奪ったわけだが、その前の福留の走塁が効果的だったといえる。この回先頭として一失で出塁すると、DeNA上茶谷にフェイントをかけた揚げ句、鳥谷の右前打で三塁を陥れたのだった。

真弓 ベテランは打つことだけで貢献するのでなく、走者になっても、また守備でも存在感を示し、相手にプレッシャーをかけることができる。それが勢いに変わっていくということを示したパフォーマンスだった。またこういう試合はどうしても「4番」にチャンスが回ってくる。そこにたどり着く。

9回1死一、二塁。DeNA国吉に対した4番大山は空振り三振を喫した。5打数1安打1打点の内容だった。

真弓 大山の打撃で気になるのはタイミングのことだ。ストレートを打ちにいって、スライダーに食い込まれる、詰まる、振り遅れるというのは、よほどタイミングがとれていない証拠だろう。仮に凡退しても雰囲気を残した内容であってほしい。ここは打つポイントをもう1度チェックする必要性を感じた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

9回裏阪神1死一、二塁、空振り三振に倒れる大山(撮影・前田充)
9回裏阪神1死一、二塁、空振り三振に倒れる大山(撮影・前田充)