西武対ソフトバンク 8回表ソフトバンク2死一、三塁、打者グラシアルのとき、森の捕逸で生還した周東を迎える松田宣、内川らナイン(撮影・今浪浩三)
西武対ソフトバンク 8回表ソフトバンク2死一、三塁、打者グラシアルのとき、森の捕逸で生還した周東を迎える松田宣、内川らナイン(撮影・今浪浩三)

逆転を許した8回表の攻防で、西武バッテリーはソフトバンク松田宣と代打長谷川勇に対し、8球連続直球勝負を選んだ。平井から平良に投手交代した直後だった。

松田は空振り、ファウル、空振りの3球三振に倒れた。追い込んでからのストレートは156キロ。球が走り、振り遅れていた。真っすぐで押すのが平良のスタイルでもある。

続く長谷川勇も力で押そうとした。2球見逃しで追い込んで、1球外してボール。打者心理は「そろそろ変化球が来そう」と思うところだ。森は変化球と見せかけて、真っすぐで裏をかこうとしたのではないか。だから打球が詰まった。もしくは力勝負で勝ったから詰まったのかもしれない。

結果、同点打となったのは駆け引き負けだ。配球が悪かったとは思わない。仮に変化球を打たれていたら、真っすぐが良かったんだから真っすぐで勝負すればと言われただろう。右方向に引っ張られたなら別だが、きれいに打たれた安打ではない。詰まりながらもショートの頭を越えた。むしろ長谷川勇がよくアジャストしたという感じだ。

ただその直後、決勝点は森の捕逸だった。勝負どころでの捕逸は捕手としてあってはならない。難しい球ではなかったし、直後にワンバウンドを捕っている。できないことではない。慎重さと丁寧さを欠いた。

この回、西武はシーズン中活躍した平井を早々にあきらめて平良を送り、ソフトバンクは“CS男”内川に代打を送った。両ベンチが積極的に動き、相手のミスにつけ込んで得点を重ねた。戦略と駆け引きの応酬が見え、中身の濃い試合だった。(日刊スポーツ評論家)

西武対ソフトバンク 8回表ソフトバンク2死一、三塁、打者グラシアルの時、捕逸で三塁走者周東(右)の生還を許しぼうぜんとする森(撮影・鈴木みどり)
西武対ソフトバンク 8回表ソフトバンク2死一、三塁、打者グラシアルの時、捕逸で三塁走者周東(右)の生還を許しぼうぜんとする森(撮影・鈴木みどり)