中日の正捕手争いの中で注目されるドラフト4位の郡司裕也捕手(22=慶大)だが、まだまだ課題がみえた。まず構え。尻が落ちすぎており、動きに窮屈さがある。象徴的だったのはワンバウンド球への対応。練習試合は激しい雨でグラウンド状態も悪かったが、鈴木翔の投球を大きく前にはじいた。これは、尻が落ちすぎている→上体が後傾した形で膝をついた結果。尻をもう少し上げていれば、膝を落とす時の上体は前傾し、はじいた球は足元に転がる。ほんのわずかな点だが、これが試合での余計な進塁を防ぐことにつながる。

捕球動作も気になった。肩の弱さを補うためか、ボールに上体を寄せていくクセがある。「速く捕って、速く送球動作に入ろう」という心理が働いているのだろうが、これは余計な動き。安定したキャッチングの妨げになる。

この日は1軍のブルペンで木下拓と桂、2軍での試合と練習で加藤、石橋、郡司を見たが、この5選手とも捕球時に球をつかみにいっており、ミットの甲が投手側に向いてしまっていた。こうしてしまうと、自分側に球を巻き込む分、本来の球のコースより低い位置で捕球した印象を球審に与えてしまう。ストライク、ボールを判定するのは背後に立つ球審。その球審にコースをしっかり明示するためには、ミットの甲(手の甲)を自分側に向けなければならない。

大野奨を含め、各捕手が課題を克服しながら切磋琢磨(せっさたくま)する中で、頭1つ抜け出る男が出れば、中日がペナントレースで面白い存在になれるだろう。

最後にブルペン環境について。今季の1軍キャンプは12球団のうち、捕手側が人工芝のブルペンが7球団。人工芝では、土と違いワンバウンド投球での球のはね方がほぼ一定になる。もちろん、メンテナンス上の問題がある点は理解しているが、ブルペンは捕手にとっても鍛錬の場。試合に近い環境で練習を積めるようになればと思う。(日刊スポーツ評論家)