ヤクルト対中日 4回裏ヤクルト1死、京田陽太の悪送球で出塁する中村(右)。左はビシエド(撮影・狩俣裕三)
ヤクルト対中日 4回裏ヤクルト1死、京田陽太の悪送球で出塁する中村(右)。左はビシエド(撮影・狩俣裕三)

8月に入り、中日が好調だ。ヤクルト戦前まで4連勝。先発陣の安定感もあるが、得点圏での打撃が上向いてきたのが大きい。

3回1死三塁で、3番福田は高めの直球を素直に右中間へはじき返した。これまで「変化球が来るだろう」と考えても、直球が捨てきれないというような迷いを感じさせる打席が多かったが、狙いを整理できていた。初回2死一、二塁でも高橋が2球で追い込まれてから、粘りを見せて四球。得点はできなかったが、チーム全体で得点圏での意識を感じさせた。

4連勝前までチーム打率2割3分8厘で得点圏打率2割2分6厘。レギュラーなら年間400~500打席で100%の集中力で臨めるのは7~8割ぐらいだろう。逆に得点圏では集中力が120%に増す。チャンスでは能力以上のものが引き出され、個人差はあるが打率は高まってほしい。4連勝中は、チーム打率2割8分8厘、得点圏3割6厘。この試合でもいい流れは見せていた。

それだけに京田のワンプレーがすべてを台無しにした。4回1死の守備で、ボテボテの遊ゴロを待ってしまい、足を使わずに送球して暴投。この失策が好調だった先発柳のリズムを崩し、5回途中で3発を浴びて降板させてしまった。

春季キャンプを見ていて、打球音が変わったなと感じていた。下半身が使えて、上体に力が伝わっている証拠で良くなってきたと思っていた。だが打撃でも打たなくていいボールに手を出し、カウント不利にする回数が多い。そして、守備の凡ミス。京田で落とした試合と言っても過言ではない。

前カードの巨人戦で連勝するなど巨人に唯一勝ち越し、インパクトも与えたはず。さらに上位をうかがう中で、あまりにもったいない。能力は高いものがあるだけに、本当の意味でプレーの重みを理解しないと、また同じことを繰り返す。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対中日 4回裏ヤクルト1死、悪送球した後、先発柳に謝る京田(撮影・狩俣裕三)
ヤクルト対中日 4回裏ヤクルト1死、悪送球した後、先発柳に謝る京田(撮影・狩俣裕三)