1回表ロッテ無死満塁、ムーア(中央)は安田に押し出し四球を与え先制点を献上する(撮影・梅根麻紀)
1回表ロッテ無死満塁、ムーア(中央)は安田に押し出し四球を与え先制点を献上する(撮影・梅根麻紀)

首位攻防戦の大切な初戦だったが、見飽きた展開にがっかりした。初回、またしてもソフトバンクが絵に描いたような自滅でロッテに2点を差し出す。藤原は二ゴロ。周東はボールが手につかず、記録は内野安打も、ミスに等しかった。続く中村奨はバントの構えをしているのに四球。さらにマーティンには死球で無死満塁。安田に押し出し四球、井上は三ゴロも、甲斐が松田宣からの送球を捕れずに2点目。

一方の打線は先発二木を打てない。7回までに9三振。そのうち5個が見逃し。首位攻防戦への対策がまったく見えてこなかった。

自滅パターンに加えてスキだらけだった。先発ムーアは3回無死二塁で二塁走者マーティンに無警戒で三盗を許す。6回1死一塁では田村に二盗され、結果として、その後の藤原の右前打でダメ押しの3点目を失った。

6回表ロッテ2死三塁、右前適時打を放つ藤原(撮影・今浪浩三)
6回表ロッテ2死三塁、右前適時打を放つ藤原(撮影・今浪浩三)

ロッテからすれば、立ってるだけで何もせずに手にした初回の2点。打って取ったのは藤原の適時打による1点のみ。自滅とスキだらけの野球に付け込み、楽に試合を進めてつかんだ初戦白星となった。

ロッテはコロナ陽性者が多発して大幅な入れ替えを行い、一見するとマイナスに映るが、2軍から昇格してきた藤原はこの試合で先発して3安打を放ち起用に応えている。先発陣も岩下の穴はチェン・ウェインでカバーしようという狙いがある。強いて言えば、競った終盤に和田、岡の代走が使えないことくらいか。

負け数が少ない分、ソフトバンクが勝率では上にいるが、このいただけない自滅パターンの連鎖を止めなければ、8試合を残すロッテ戦での苦戦は免れない。(日刊スポーツ評論家)

6回表ロッテ2死一塁塁、先発ムーアの交代を告げベンチに戻る工藤監督(撮影・今浪浩三)
6回表ロッテ2死一塁塁、先発ムーアの交代を告げベンチに戻る工藤監督(撮影・今浪浩三)