あらためて、思い込みは危険だと思い知らされた。巨人陽岱鋼外野手(30)のイメージカラーといえば「赤」。手袋やリストバンド、練習用バットなどでこの色を使用する。赤色の野球道具といえば、前日本ハムの新庄剛志氏が有名だった。てっきり先輩の影響で同じ色を選んだろうと考えていたが、実際は少し違うのだと力説してもらった。

 陽 日本ハムに入る前から赤が好きで、洋服とか、身の回りでよく赤を使っていたんです。でも入団した時には新庄さんがいたので、赤をやめて全部を白に変えました。新庄さんはすごい選手。同じ色にはできなかった。でも引退されたので、好きだった赤を使うようにした。まねをしていたわけじゃないんです。

 同じ背番号1を背負っていたので安直に結びつけたくなるが、実情はちょっと違った。大先輩への敬意の念から遠回りをした末に、現在の「陽岱鋼=赤」のイメージが定着したという。

 色にまつわる話の流れで、性格の一端も知ることができた。取材中に「巨人は、赤色は大丈夫ですか? 先に使っている人はいませんか?」と尋ねられた。実力も実績もある名選手が、新参者だからと気を配る姿が興味深かった。決めつけを避けて質問することで新たな発見がある。基本を大事に、新たな担当先でも丁寧な仕事を心がけたいと思った。【巨人担当=松本岳志】