今年も、あの子がやってきた。沖縄・石垣島でキャンプ中のロッテ清田育宏外野手(30)は8日、個人練習を終えて帰ろうとすると、丸刈り頭の男の子から「キャッチボール、しようよ」と誘われた。「疲れてるから、やだよ」。「できるでしょう。やろうよ」。「しょうがないな~」。そう言いながらも、うれしそうにリュックにしまったグラブを取り出した。

 田渕尊(たぶち・たける)君は4月で小学4年生になる野球少年だ。室内練習場の横の空き地でボールを投げ合っているのを見たが、清田は結構な強さで放っていた。10歳に満たない子供相手の強さじゃない。それでも、尊君は平気でキャッチして、また結構な強さで投げ返していた。「うまくなってたよ」と、清田も目尻を下げた。実は尊君、毎年、この時期になると球場に現れて、清田にキャッチボールをおねだりしているのだ。今年で4年目。初めて来た時は、まだ保育園児だった。

 1年に1度会うことで、尊君の成長が感じられる。キャンプ地ならではの縁。清田は昨季痛めた右ふくらはぎの影響で今年は2軍スタートだが、連日、精力的に個人練習まで行っている。「頑張りますよ!」。元気の源には、島の男の子もいた。【ロッテ担当 古川真弥】