2月の宮崎キャンプ中は、巨人3軍の早朝練習「ザリアツカ」(ロシア語で充電トレーニング)の同行が日常だった。早朝6時半に宿泊先のホテルを出発し、球場までの約3キロの道のりを徒歩で向かう。球場の室内では約1時間、打撃やシャドー、体幹トレーニングなど個人練習を行い、全体練習に備える。川相昌弘3軍監督(52)の発案で始まったトレーニングは、今年で2年目を迎えた。

 早朝トレーニングと聞いて連想する言葉は「根性」や「ハングリー精神」という種類だろうか。同行初日に私が抱いた感想も「眠い」と「寒い」の2点が主だった。ところが同行を続けて3軍の置かれている状況を聞くうちに、本来の目的を理解する機会を得た。

 3つのチームを抱える巨人において、3軍の優先順位は決して高くない。2軍がジャイアンツ球場を使用している間、3軍は空いたスペースで練習を行うしかない。グラウンドや、室内の打撃マシンが使えない時に何ができるのか。施設が埋まっている間にウエートや屋外ランニングなどを行い、グラウンドが空いた瞬間に100%で全体練習に入れるように。3軍選手には、先の予定を把握し、効率のよい時間配分をする能力が求められている。

 宮崎キャンプ中、早朝練習を7時に設定したのも、8時から2軍の早出組が室内を使用するためだった。川相3軍監督は言う。「3軍は、好きな時に好きな場所で自由に練習ができるわけじゃない。だから時間の使い方を考えなければ。朝1番に体を動かして、少しでも早く自分の状態を把握して、必要な練習を考える。それがプロだと思う」。根性論ではなく、効率性や主体性を養うために。早朝トレーニングには、プロ生活を送るために必要な要素が詰まっていた。【巨人担当=松本岳志】