思いを込める。広島の選手会長、小窪の帽子の裏には「38 共に」と書かれている。菊池も帽子の裏、左側に大きく「38」を書いている。今、チームで代走の役割を担う上本は「赤松さんなら」とよく口にする。胃がんとの戦いを続ける赤松の存在は、少しも薄れていない。小窪は「ために、じゃなくて、共に」と力を込めて話す。

 小窪が春季キャンプに持ち込んだ背番号38のレプリカユニホームは、今もロッカーに掛けてある。キャンプで1カ月掲げると「さすがに砂ほこりで汚くなった」と歯を見せる。菊池も帽子を見て「大好きな先輩だから」と笑う。誰かに見せるためではなく、自分をエネルギーのため。赤松と「共に」が自分の「ため」につながっている。

 7月末まで抗がん剤治療を続ける同僚への思い。最後まで諦めない逆転のカープとつなげるのも暴論ではないだろう。4月20日現在で、12勝のうち6勝が逆転。3点差を2試合、4点差も1試合ひっくり返した。どんな状況でも目の前の仕事に全う。次の打者を思ってつなげていく姿勢が激勝を生む。38番は“ラストピース”ではない。今日も共に戦っている。【広島担当=池本泰尚】