巨人坂本勇人の陽気さが大好きだ。くねくねっとした身のこなしで、軽やかにグラウンドで躍動する。打席では右足に体重を乗せて腰を落とす。パワーアップしたフォームで成長曲線を描き続けている。

 開幕直後のSNSの書き込みに目に留まった。球場に観戦に訪れた子どもたちとフェンス越しでキャッチボールをする様子が写真とともにアップされていた。正遊撃手で主力として参戦した第4回WBC。選手たちは「野球人気の復活と子どもたちに夢を与えたい」が合言葉だった。

 ストイックな姿勢がなければ猛者たちが集うプロの舞台での活躍はあり得ない。それは目に見える努力だけを指すとは思わない。オフ期間、試合前に我々やファンの想像をはるかに超える努力がある。だから、グラウンドでは軽やかに見える。侍ジャパンでチームメートだった筒香は「勇人は野球に対してすごく真面目で、探求心が強い。いつも野球の話ばかりをさせてもらい、すごく勉強になった」とトップアスリート同士の野球談議は貴重な時間だった。

 ファンに対してストイックさだけを強調しないところに坂本勇の良さがある。そもそも、スポーツは戦いの前にレクリエーションだということを忘れてはいけない。子どもたちの夢へ-。野球の楽しさを純粋に伝えるために体全身で表現している。【巨人担当=為田聡史】