エラシコ。サッカー経験者ならば、1度は耳にしたことがあるだろう。元ブラジル代表FWロナウジーニョの十八番とも言えるフェイントである。ボールを軽く外側に押し出し、同じ足のインサイド(内側)で素早く切り返す動作である。絶妙なタッチで切り返す、高度な技術が求められるものだ。

 楽天のドラフト9位ルーキー高梨は、それを突き詰めた。「何かやってみたくて」と早大在籍時から、エラシコの習得に励んだ。「リフティングは出来ません。野球以外の球技は苦手ですけど、何となくエラシコをやりました」。今では両足で世界水準のフェイントを難なくこなす。

 1つのことを突き詰めたいと言う。野球はもちろんのこと、サッカーを愛する気持ちも持っている。ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナルドのとりこ。「本当に球技は苦手なんですけど。サッカーは好きですよ。でも野球と一緒で不器用ですけど」と言う高梨は、昨年途中にスリークオーターからサイドスローに変えた。未完成だと言う投法を突き詰め、自らの十八番と胸を張れるようにしてみせる。【楽天担当=栗田尚樹】