最初のバウンドが高くはずめば、広島野間のものだ。20日のヤクルト戦(マツダスタジアム)の9回。野間は先頭打者で遊撃内野安打を放った。とにかく足が速い。遊撃手が捕球するときには、もう一塁を駆け抜けていた。打率もじわじわと上げており、もはやなくてはならないピースと言えるだろう。

 普段は代走、守備固めでの出場が多い野間が打てば、何よりベンチが盛り上がる。プライベートでも仲のいい鈴木はベンチから身を乗り出してガッツポーズする。今季は野間が安打を打つたびに「野間さ~ん!」と叫ぶ姿がテレビ画面にも抜かれている。早出練習や室内打撃練習で、いかにバットを振ってきたか。ボロボロの手のひらと同様、自軍の大喜びが、証明しているように見える。

 「恥ずかしいっす」と野間は笑う。ドラフト1位から入団3年目。首脳陣からの期待も大きく、打撃は付きっきりの指導。全体練習後にスライディング練習を課せられたり、守備練習でも大きな声が飛んでいく。何より野間自身が内野安打でも「2ミリずれとったら左中間スタンドやったのに」と笑わせる。もちろん愛される男の目標はまだまだ先にある。【広島担当 池本泰尚】