今季2軍調整が長いソフトバンク摂津が、ファームで思わぬ珍体験をした。7月7日のウエスタン・リーグ中日戦で先発。その日はFOXスポーツなどでホークスを取材している川崎優リポーターが人生初の始球式。舞い上がった彼女は投げた後、審判の「(捕手と)握手をしてください」という指示を間違って、摂津の方へ向かい握手をしてしまった。

 摂津といえば、どんな大物タレントでもアイドルでも始球式には無関心。無表情と話題になるほど。そんな摂津も悪気なく求められた握手に笑顔で応えた。だが、先頭の中日育成渡辺に先頭打者本塁打を許してしまった。間違いに気付いた川崎キャスターは反省しきり。後日、謝罪に来た彼女を摂津は笑って許した。

 摂津は「(始球式は)関係ないですよ。そんなのを気にしていて打たれてはね」と、笑い飛ばした。今季1軍では5試合先発し0勝2敗。首位独走に貢献できず苦しんだ。若田部2軍投手コーチは「春先は調子が悪かった。いいときには1軍のチーム状況もよかった。今はいい状態を保っている」。摂津は「やれることをやるだけですよ」と黙々と鍛え、出番を待つ。世代交代の波は大きいが、経験豊富な摂津が必要な場面は今後必ず来るはずだ。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】