昨年まで担当したソフトバンクの工藤監督は選手育成を語る時、「ホップ、ステップ、ジャンプ」と三段階を重要視する。土台を固め、助走し、能力を大きく開花させる。つまり一流選手になるには、3年は必要で、一足飛びでスター選手になるのは、限られている。それだけプロの世界で毎年続けて結果を残すのは難しい。

 2連覇を達成した広島の戦力の充実は疑いようがない。特に20代の選手の躍進はめざましく、黄金時代の到来と表されるのも当然だ。しかし彼らとて、右肩上がりで成績を残したわけではない。4位に終わった15年には、丸や菊池は前年から大きく成績を落としている。ホップの後に、試練を乗り越え、ステップ、ジャンプが待っていた。

 阪神を見れば、昨年結果を残した高山、原口がレギュラーに定着できずに、苦しんだ。しかしこれを乗り越えれば、大きなステップを踏めるかもしれない。主軸に抜てきされた中谷や大山は来季に次の段階に行けるのだろうか? いずれにせよ、こういった若虎がジャンプする時を迎えなければ、打倒広島は実現しない。育成の道は1日にしてならず-。リーグの覇者を見て、そう感じずにはいられない。【阪神担当=田口真一郎】