<パ・クライマックスシリーズ・ファイナルステージ:ソフトバンク7-5楽天>◇第3戦◇20日◇ヤフオクドーム

 星を2つ落としてかげっていた日本一へのロードマップが少し晴れた。工藤ホークスがようやくファイナル1勝を挙げた。シーズン94勝の圧倒的勝利でペナントを制し、悲願への道のりは一直線かと思われたが、足踏みを強いられた。「(CSまでの)調整が悪かった。ワシのせいじゃ。きちんとした調整をして監督にチームを渡さなければいけなかった」。連敗を期した19日の試合後、達川ヘッドコーチはそう言った。いつもはユーモラスな男も悲壮感すら漂わせていた。

 打線の組み替えが奏功したのかどうかはわからない。クリーンアップ3番から7番に下がった中村晃が決勝弾。内川が3戦連発…。初回の2得点も4安打を放って「つながった」と言えば、そうかもしれないが、それ以上にこの日はホークスナインの「王者のプライド」が勝利を呼び込んだように思えた。故障の柳田を欠いているとはいえ、先発オーダーは今季初の布陣。打線のテコ入れというにはあまりにも「荒療治」であった。

 殊勲の1発を放った中村晃の言葉が印象的だった。ベンチ前でナインの手荒い祝福を受けた。「仲間がたくさんいるんだなと思った」と、ボソリと言った。2番中堅に入った14年目の城所はCS前の招集に「チャンスをもらえたので、生かすも殺すも自分次第」と背水の気持ちで挑んだ。負ければ徳俵に足が乗るという危機感よりも、置かれた立場できっちり仕事を完遂した結果ように思えた。

 まだ喜んではいけない。星は五分。残り3試合。悲願の頂へ続く道は、ここからが険しさを増す。【ソフトバンク担当 佐竹英治】