ついに球団が「ビジユニ」の取り締まりに乗り出した。

 ヤクルトが1日、来季の「明治神宮野球場におけるプロ野球観戦ルール」追加・変更のお知らせを発表した。

 観戦ルールの見直しとして、18年シーズンより一塁側B・B2指定席はスワローズ応援専用席と設定。一塁側のブルペンのほぼ真横にあるB・B2の指定席ではヤクルト以外のユニホームや応援グッズの着用と、相手球団の応援行為を禁じた。

 今回のルール改定に関して、衣笠剛球団社長(68)は「球団の方で交通整理をしたということ。一般内野席は買えるのですが、ヤクルトファンから見て、目に余るという声が多かった。なので着用規制をかけました。あの区画でビジターユニホームを着て応援するのは遠慮してほしいと」と説明した。

 背景に、現在の野球ブームがある。「カープ女子」や「ハマっ娘」と呼ばれる女性ファンが増加。野球の応援ルールが分からないまま、ヤクルトの本拠地神宮でホームチームのベンチがある一塁側で、赤色や青色のユニホームを着用して応援するという光景が多く見受けられた。6月21日に行われたヤクルト本社の株主総会でも株主が根岸オーナーらに「なぜ一塁ベンチの上で相手ファンがユニホームを着て、応援歌まで歌っているのか」と質問。ビジターチームの一部ファンによる観戦マナーが問題視されていた。

 衣笠社長が特に印象深かったというのが9月18日に甲子園で行われた阪神広島戦。広島のマジック1で迎えた一戦で、阪神ファンで埋め尽くされた右翼スタンドに赤いユニホームを着た広島ファンがぽつりぽつりと着席し、阪神ファンとの小競り合いに発展していた。

 その様子をニュースなどで知り「甲子園のライトスタンドであんな事が起こるというのは、我々の世代では考えられない。普通はライト側はビジターユニホームは着ないというのが分からないファンの方もいる」と、球界全体に広がっている問題と痛感。野球観戦ビギナーも、古くからのファンも楽しめるように、ルールとして一部区画でのビジターユニホーム着用禁止などを決めた。

 今後マナーが改善されなければ区画の拡大も検討するとしたが、一番の願いは両チームのファンが気持ち良く試合を観戦し、さらなる球界の盛り上がりにつながること。暗黙のルールとして知られていることを明文化することにより、分かりやすく楽しんでもらいたいという思いがある。衣笠社長は「お客さんの入りが少ない頃は入ってもらえただけでうれしかったけど、これからはいろんな人が楽しめる球場作りをしていきたい」と話した。誰もが心地よく過ごせ、熱い声援を送れる球場となることを願う。【ヤクルト担当=島根純】