静岡でオープン戦を見ていた16日、残留組が練習する甲子園から一報が届いた。「ロサリオがブルペンに入った」。内野手登録だが大リーグ・ロッキーズでは3季、正捕手だった。首脳陣の指示ではなくロサリオが希望し、事前に申し出ていた。

 山田バッテリーコーチは言う。「故障の恐れもあるし、危ないけどね。でも、気分転換にはいい」。金本監督は打撃に専念させ、捕手で起用の方針はない。あくまで緊急事態の備えだが、あえて助っ人の「捕手力」に焦点を当ててみたい。

 かつては将来性豊かな捕手だった。13年の「MLB選手名鑑」(日本スポーツ企画)には「28本塁打は新人としても捕手としても球団記録」の寸評で24歳のロッキーズ・ロサリオが紹介されている。同コーチも「メジャーで300試合以上、マスクをかぶっている」と一目を置く。若き捕手陣へのアドバイスも歓迎している。

 踏み込んだ助言だ。外野手からのバックホームで捕手はどう構えるべきか。「すぐに膝をつかず、中腰で構えておくことさ。イレギュラーバウンドに備えないといけないからね」。ロサリオの持論を聞いて、同コーチも深くうなずいた。阪神の正捕手争いを繰り広げる若手には、メジャー流に触れられる環境がある。【阪神担当 酒井俊作】