ペナントレースが開幕してまだ15試合というのに、工藤ホークスは覇権への“ナビゲーション”を失ってしまった。「8回の男」だったセットアッパーの岩崎、そして何より投手陣の屋台骨ともいえる「守護神」サファテが離脱してしまった。右ひじ手術の岩崎の復帰は早くても後半戦以降。米国へ戻るサファテも長期離脱の気配である。

 4年目を迎えた工藤監督にとって「サファテ&岩崎」は絶対的な信頼を置く「勝利の方程式」だった。サファテは今季の5セーブを含め、工藤政権下で計143セーブを挙げている。通算セーブ数(234セーブ)の6割以上を工藤ホークスになって積み上げた。岩崎も今季1ホールドを含め通算72ホールド中、52個が15年以降の数字だ。単純に考えるならば、9イニングの内、岩崎&サファテで支える2イニングを抜いた7イニングの投手起用を考えればよかったわけだ。だが、今季は残るシーズンの大半を「勝利のナビゲート」なしで進んでいかなければならない。本当の意味で投手出身の工藤監督の手腕が試されるシーズンとなる。

 この日、チームは5連勝がストップした。ホークス戦の連敗を4で止めた楽天梨田監督は苦笑いで言った。

 「(岩崎、サファテが抜けても)まだモイネロも森もいるし、(戦力が)落ちてはいないよ。これでようやく普通になっただけ。今まではお宝が多すぎただけだから」。最下位からの浮上を狙う指揮官だけに楽観的な見方はしなかった。

 打線の爆発力がまだ整っていない今、苦肉のゲームプランは続くだろう。監督4年目の試練となった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】