フルスイング、豪打のイメージが強いソフトバンク柳田だが、この日の記録達成には本人なりの工夫も感じられた。

 試合前の打撃練習。フリー打撃を終え、ケージを出てきた柳田は浮かぬ顔をしていた。キャッチボールをしていた戸部打撃投手に「トスをお願いします」と言って5分ほどバットコントロールを確認するようにトス打撃を繰り返した。突然のリクエストに戸部打撃投手は「柳田がトスを頼んだのは初めて。ビックリしました」と驚きながら投げた。

 そんな柳田の姿を見て7年前を思い出した。11年1月の新人合同自主トレ。ドラフト1位の山下(楽天)と組んでやっていたトス打撃はお世辞にもプロの姿ではなかった。お互い強烈な打球を打ち返し、見守ったコーチ陣も苦笑いだった。この日、6回に放った中前打。左腕公文の外角のスライダーを、右手だけで中前に運ぶ技ありの一打だった。サイクル安打にプラスこの1本。柳田のさらなる成長を見た気がした。【ソフトバンク担当=佐竹英治】