広島の新井貴浩内野手(41)が現役引退を発表した。マツダスタジアムでの中日戦で見られたベンチ裏の“風物詩”も見られなくなる。中日の球場入りは試合開始の3時間ほど前だ。チームのバスが到着すると、新井が待ち受けていた。「ルイスさん、かばんをお持ちします!」。中日のフランシス・ルイス通訳(42)のかばん持ち役をして周囲を笑わせていた。

ルイス通訳はドミニカ共和国のカープアカデミー出身で、97年に練習生として来日した。98年ドラフトで入団した新井とは、同学年でウマが合ったという。「マジですか? もうちょっとやると思ってました。もっとやって欲しかった。ボクはあまり(お酒を)飲めないのに、日南のキャンプで新井たちに飲まされてゲロゲロになったのが思い出ですね」。引退を聞いた際には流ちょうな日本語で、新井との思い出を話してくれた。

練習生生活は2年で終わった。しかし、広島の松田オーナーに日本語であいさつしたことから、日本語教室に通わせてもらい通訳に転身。07年からはドミニカ人選手を獲得した中日に移籍した。現在の正式な肩書は「チーム統括本部編成部国際渉外担当兼通訳兼ブルペン捕手兼バッティング投手兼外国人担当」。主にスペイン語を話すガルシアら外国人投手の通訳をしながら、試合前は球を投げて、受けてとグラウンドを所狭しと駆け回る。ベテラン松坂のキャッチボールの相手もルイス通訳が最も多く務めている。

中日は、逆転CS進出の可能性を残している。勝ち進めば、マツダスタジアムでのルイス通訳と親友・新井の掛け合いが見られるかもしれない。【中日担当 伊東大介】