<ソフトバンク2-0日本ハム>◇23日◇ヤフオクドーム

ともに負けられない戦いで、工藤ホークスが勝って、栗山ハムが負けた。逆転Vを目指すソフトバンクにとっては、眼下の敵・日本ハムに絶対に星を落とすわけにはいかない。首位西武とのゲーム差は6。3位日本ハムとは5ゲーム差となった。リーグ制覇が至上命令の工藤ホークスにとって「2位死守」は眼中にない。1位以外は敗者。徹底した孫オーナーの勝負哲学が植え付けられている。

現実的には厳しい。西武との直接対決は4試合を残しているが、豪打を武器に最終盤のペナントを駆け抜ける獅子の勢いは、そう簡単に止められるものではなかろう。2位からの「下克上」が現実的路線だろうが、可能性が残されている限り「終戦」はない。ファンも何より逆転Vを望んでいるし、それはヤフオクドームに響き渡る応援の強度でも分かる。

何とももどかしい。V逸した場合の喪失感は大きいのだ。チームに逆転Vへの大きな期待をかけつつも、待ち受けるCSでの復元力は戻ってくるのだろうか…。いらぬ心配も頭をよぎる。この日の1勝は大きかったが「完勝」と言えたかどうか。安打数は5倍もあったのに互角の勝負のようにも見えた。「あと1本」「あの1球」…。西武を追いかけながら、日本ハムからも追いかけられているという現実。CSを考えると、スキは見せられないのだ。

胸の詰まるような戦いは、まだまだ続く。圧倒的な強さで駆け抜けた昨年とは対照的な戦いとなったが、本当のチーム力は今、試されているような気がする。【ソフトバンク担当 佐竹英治】