侍ジャパンの勝ち越しで幕を閉じた日米野球。日本代表とMLB選抜だけでなく、あるチームの名前が注目を浴びた。プエルトリコの「カロリーナ・ヒガンテス」。日本代表では13年オフにソフトバンク東浜巨投手(28)が、16年オフには巨人岡本和真内野手(22)がウインターリーグで武者修行。MLB選抜ではドジャースのエンリケ・ヘルナンデス外野手(27)が所属した。ヘルナンデスは岡本のことを「ベイビー」と呼んでかわいがり、東浜は「楽しみ」と話していた元同僚との対戦が第5戦で実現。結果は四球だったが、つかの間の再会を楽しんでいた。

さて、今回の日米野球で登竜門となったプエルトリコのウインターリーグとはどんな場所なのか。ちなみに、中日松坂も「カロリーナ」で16年オフに参加した。岡本は「すごいところですよ」と笑う。外野席には馬が現れ、試合中に審判全員がボールカウントを分からなくなり、打席の岡本に確認。「フルカウントからボール球を投げられたんで、四球を選びました(笑い)。当たり前と思ったことが当たり前じゃない。向こうでの普通だと思ったら普通なんですよ」と振り返る。そこには多様な人種と考え方があり、おおらかでシンプルに楽しくプレーできる環境があった。

だからこそ、岡本は大きくなった。当時の捕手バスケスからは「考え過ぎて、お前はもっと難しくしてしまっている。日本のドラフト1位として堂々とプレーしていい」と助言を受け、結果だけを求めることを止めた。周囲の目を気にせずに、純粋に野球がうまくなるための練習を追求してきた。

プエルトリコで「ベイビー」と呼ばれた男は、今季巨人で史上最年少の「3割30本100打点」を達成し。日米野球第5戦ではバックスクリーンへ特大のソロを放ち、最終戦では日米野球の日本代表史上2番目の若さで4番に抜てきされた。一回りも二回りも大きくなった存在感をかつての同僚ヘルナンデスは「彼は間違いなくメジャーでやれる才能があり、成功できる。体も大きくなって屈強になっていた」と絶賛した。

スペイン語で「ヒガンテス」は巨人の意味。海を渡って研さんを積んだ若き主砲は日本球界の巨人となるべく、成長の道を1歩1歩、踏みしめている。【巨人担当=島根純】