広島鈴木誠也がリハビリ中の右足首について話すのを聞いて、強さの一端をのぞき見た気がした。

鈴木は11月9日に足首からボルトを抜いた。昨年8月23日DeNA戦の外野守備で骨折し、固定するために入れていたもの。回復具合を聞くと「違和感はぜんぜんなくならない。一生この違和感と痛みはついてまわるものだと思っているんで…」と淡々と説明した。

驚いた。ずっと痛かったのか。違和感もあったのか。今季は打率3割2分、94打点、30本塁打の成績を残し、日本シリーズでも打率4割5分5厘、3本塁打と打ちまくったが、足首の感覚が戻っていない中でそれだけの成績を挙げていた。

何より感心させられたのは、痛みや違和感を無理に隠すのではなく、かといって来季への予防線を張るのでもなく、粛々と現状を受け入れ「もっとうまくなりたいんで」と前だけを見つめていることだ。

実は私、9年半ぶりに取材現場に復帰したばかり。違和感は大きいし、内勤ですっかり弱った腰が早くもSOS信号を出している。しかし、あれこれ言っても仕方ない。鈴木にならい、現状を受け入れて前に進むことにする。【広島担当=村野森】